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シリーズ第2弾となるデザインは、150本限定の特別仕様として鮮やかなカラーを採用した。

ニバダ グレンヒェンが2023年にアンタークティック ダイバーを発表して以来、そのラインナップは一貫して変わらず、ヴィンテージにインスパイアされたブラックダイヤルがスキンダイバーシリーズの唯一のSKUとして君臨していた。しかし同ブランドの動向を追っているならば、創業者のギヨーム・ライデ(Guillaume Laidet)氏が常にアーカイブやウェブサイト、さらには個人コレクションを探索し、ブランドの歴史的オマージュや復刻のインスピレーションを探し続けていることを知っているだろう。今回ギヨーム氏が参考にしたのは、ヴィンテージウォッチショップで見つけた1970年代のニバダ アンタークティック シーだ。オリジナルはよりユニークなクッションケースを採用していたが、そのエメラルドグリーンのダイヤルは現代版アンタークティック ダイバーのプラットフォームに受け継がれ、新たな限定モデルとして登場することとなった。

今回は、すべてがダイヤルに集約されている。とても鮮やかなグリーンであり、その彩度の高さによって暗い環境でも色が損なわれることはない。サンバースト仕上げが際立ち、明るい光の下ではダイヤルのメタリックな質感が、はっきりと見て取れる。この仕上げの強調により、暗い場所でもダイヤルは単調になることなく明暗のコントラストが生まれ、常に表情を変え続ける。正直に言うと、このカラーリングはチープに見えてしまうのではないかと心配していたが、実物を手に取るとその仕上がりは期待以上に印象的だった。


ダイヤル周囲には、プリントされたホワイトの分目盛りが配されており、その内側には大型の横長な長方形のインデックスが並ぶ。3・6・9・12時位置には厚みのあるファセット加工が施されたメタル製アプライドインデックスが採用され、それ以外の時間帯には、ブランドが“クリームラテカラーのパティーナ”と称する夜光インデックスが配置されている。だが実際に見るとコーヒーのような色味はなく、むしろグリーンイエローに近い印象を受ける。それでもすべてのインデックスは分厚くワイドに設計されており、このデザイン特有のユニークなプロポーションに貢献している。

これらのインデックスを引き立てるのはきわめてワイドな針だ。私がこれまで見たなかでも最も幅広い針であり、小振りな38mm径のケース内でその存在感が一層際立っている。時・分針は四辺が面取りされているものの、中央部分にはファセット加工が施されておらず、そのためダイヤル上での視認性が非常に高い。オリジナルのヴィンテージモデルから受け継がれたデザインとしては適切な選択だが、もしケースがラウンド型のクッションケースだったならば、このブロック状の針とのバランスがさらによくなったのではないかとも思う。ちなみに、これらの針は現行のアンタークティック ダイバーの標準的なブラックダイヤルモデルにも採用されている。しかし、今回のモデルでは長方形のインデックスと組み合わさることで、そのデザインがより効果的に機能しているように感じられた。


ヴィンテージからのインスピレーションはこれだけにとどまらず、オリジナルのタイポグラフィもこの現代版に受け継がれている。ニバダ グレンヒェンのブランドロゴ上に配置されたアイコンは、ヴィンテージのカタログリストに掲載されていたデザインを踏襲しており、6時位置の上には筆記体でAntarctic-Diver(南極ダイバー)とプリントされている。今回、自分が手に取ったのはノンデイト仕様だったが、ギヨーム氏はよりオリジナルに忠実なフレーム付きの日付表示モデルも展開している。ブラックダイヤルとは異なりこのモデルには、幸いにもサイクロップスレンズが付いていない。

それ以外の点は、基本的に標準モデルのアンタークティック ダイバーと同じだ。ステンレススティール製のケースは直径38mm、厚さ12.9mmで、ケースサイドはポリッシュ仕上げ、トップとボトムはヘアライン仕上げとなっている。ニバダの多くのモデルはエッジがシャープで明確なラインを持つことが多いが、このモデルはケースのトップからサイドへの移行がより滑らかで、人によってはややポリッシュが強すぎると感じるかもしれない。一方でCNC加工直後のような無機質な印象はなく、適度な仕上がりにまとまっている。ベゼルにはセラミックを採用し、この価格帯で一般的なアルミニウム製よりも高級感のある仕上がりだ。ベゼルは圧接式で、クリック機構のない双方向回転式。適度な抵抗があり、しっかりと固定されている。しかしこの時計を本格的なダイビングツールとして使用する人は、実際にはほとんどいないだろう。

この時計の全体的なサイズ感は非常に装着しやすく、200mの防水性能を備えた実用的なダイバーズウォッチとなっている。さらにトロピックラバーストラップが手首にしっかりとフィットし、快適なつけ心地を実現している。ムーブメントにはニバダの標準仕様であるソプロード製PO24キャリバーを搭載し、パワーリザーブは約38時間。ノンデイト仕様だと、ゴーストデイトポジションが生じる点は理想的と言えない。裏返すとペンギンの刻印が施されたデザインが現れる。こんな楽しいデザインなら文句はない。

今回のアンタークティック ダイバーは150本限定で、ノンデイト仕様とデイト表示付きモデルがそれぞれ75本ずつ製造される。販売価格は標準モデルと同じ995ドル(日本円で約15万円)に据え置かれており、グリーンダイヤルは限定モデルとしての個性を際立たせるユニークなカラーバリエーションとなっている。これが画期的かつ革新的なモデルかと言われれば、答えはノーだ。しかしニバダが手がけたハイパースタイライズドなデザインと鮮やかな発色は、定番とはひと味違うモデルを求める人にとってよい選択肢となるだろう。
ニバダ グレンヒェン アンタークティック ダイバー グリーン。ステンレススティールケース、直径38mm、厚さ12.9mm。ノンデイト仕様とデイト表示付きのグリーンダイヤル、ダブルドーム型サファイアクリスタル、両方向回転式セラミックベゼル、200m防水。ソプロード製自動巻きCal.PO24搭載。ストラップやブレスレットのバリエーションあり。価格は995ドル~(日本円で約15万円~)。

セカンドキャリアとして船舶時計の修理職をみいだした、元ポートキャプテンを紹介しよう。

「もう75歳になります。いつの間にか、こんなに歳をとってしまいました」と、デビッド・トンプソン(David Thompson)氏は語る。正確な時刻にこだわる時計修理の仕事をしている彼にとって、この言葉はどこか皮肉めいている。「腕時計はつけないし、普段は時間を気にしない。でも、なぜか時計が好きなんです」。ただしトンプソン氏は、いわゆる一般的な時計職人とは一線を画している。彼の専門はチェルシー社製の船舶時計、とりわけ北米五大湖を航行する巨大貨物船の操舵室や機関室で今も時を刻むものだ。この仕事に就いたのはわずか5年前だというが、まるで長い年月従事してきたかのように見える。

スタージョン ベイの造船所にいる冬の船団。
トンプソン氏は水辺と船に囲まれて育った。子どものころはオンタリオ州キングストンに住み、セントローレンス川からオンタリオ湖へ入ってくる船の写真を撮っていた。10代のころには海洋少年団に所属し、ブリガンティン帆船の建造を手伝った。また、地元の造船所で建造された軍用揚陸艦が川をさかのぼってモントリオール港へ運ばれる際、その船に便乗する機会もあった。1970年代初頭、彼はウィスコンシン州ドア郡へ移住する。そこではベイ造船所が五大湖初の1000フィート級“スーパーレイカー(超大型湖船)”の建造を進めていた。1978年の冬にトンプソン氏はそのうちの1隻の塗装作業を請け負い、氷結した造船所の上に立ち、20フィートの延長ポールを使ってUSスチール社の新造鉄鋼運搬船“エドウィン・H・ゴット”の巨大な船体に何百ガロンもの塗料を塗り上げた。
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長年にわたる船との関わりが、彼を最終的にウィスコンシン州ドア半島の小さな港町、スタージョン ベイでの船舶管理の仕事へと導いた。冬の氷で航路が閉ざされると、五大湖の航行は一時的に停止し、船はドックや造船所で数カ月間係留される。常勤の乗組員はそれぞれの家へと帰り、一時的に船を離れる。この季節の小休止のあいだに船主は推進機や甲板機械の改修作業を実施し、乾ドック(編注;船体の検査や修理などのために水を抜くことができるドックのこと)での船体検査を行い、船首から船尾までの保守点検を行う。
船舶管理人として、そしてのちに“ポートキャプテン”として、トンプソン氏は冬季のあいだに係留される最大5隻の五大湖船(そのなかにはエドモンド・フィッツジェラルド号が沈没した悲劇の夜にスペリオル湖をともに航行していた、アーサー・M・アンダーソン号も含まれる)の実質的な船長としての役割を果たした。彼の職務は、配管の緊急対応から乾ドックでの検査監督まで多岐にわたる。そのなかには、船舶時計の年次メンテナンスや修理業務も含まれていた。生粋の船好きであるトンプソン氏はチェルシー社製船舶時計の歴史にすぐに魅了され、冬の作業リストのなかでもこの特別な業務に強い関心を抱くようになった。

「船が入港するたびに船長のもとを訪れ、どの時計がいくつあり、どれが修理を必要としているのかを確認し、それらをスタージョン ベイの宝石店に持ち込んで修理してもらっていました」。トンプソン氏はそう振り返る。彼は時計を船団事務所に送るとその多くが戻らず、退職する幹部への贈り物として消えてしまうことに最初のシーズンで気づいた。幸運なことにスタージョン ベイにあるドレーブ・ジュエラーズは1910年創業の家族経営の店で、時計修理を専門としていた。こうしてドレーブは、冬に入港する船舶の数十個におよぶ時計のメンテナンスを支えるトンプソン氏の頼れる協力者となった。

チェルシー社製の船舶時計には、極端な温度差、埃、湿気、機関室や操舵室の振動といった過酷な環境にも耐えうる頑丈さが求められた。
 過去30年間で五大湖の航運業は大きく変わり、米国の船団は1950年代や60年代の最盛期と比べてすっかりその姿を変えてしまった。当時は銑鋼一貫製鉄の原材料需要に支えられ、何百隻もの船がスペリオル湖のアイアン・レンジからシカゴやデトロイト周辺の製鉄所へと航行し、一方で穀物はオンタリオ湖やセントローレンス海路を通ってヨーロッパへ輸出されていた。造船業は活況を呈し、世代を経るごとに船は大型化していった。しかしその後の船舶の大型化、1960年代以降に始まった安価な外国鋼材の流入、さらに陸上輸送との競争の激化により、業界は大きく衰退した。今日では、ダルースやマーケットの鉱石ドックで貨物を積み込む五大湖船を1隻でも見かけることができれば幸運なほどである。またかつて船の航行には海洋クロノメーターが不可欠だったが、それもロランC(長距離電波航法)、さらにGPSへと取って代わられた。船の4時間ごとの当直交代をチェルシー社製の時計で知らせる必要もなくなったが、それでもこの伝統的な時計は今もなお船内に残り、1隻あたり5~6個が搭載されている。

ポートキャプテンとしての任務を退いた後、トンプソン氏はいわゆる“HITマン”、つまり時計師の訓練生(Horologist In Training)になった。
 五大湖の航行はこの数十年で劇的に近代化されたが、船員たちはいくつかの伝統を今も大切にしている。実用面では、電話やデジタルクォーツウォッチ、コンピュータ化された航行装置が時刻を知らせ、機器の自動制御を担っている。それにもかかわらずこれらの機械式時計が船内に残っているのは、そうした伝統が根強く息づいているためだ。今もなお多くの五大湖船では、同期されたチェルシー社製船舶時計が機関室の制御ステーションや操舵室、調理室、船長や一等航海士の居室、さらにはゲストラウンジやダイニングルームに設置されている。淡水環境の穏やかな影響と毎年冬のあいだに実施される保守点検により、五大湖を航行する船舶には何十年も前に建造されたものも多く残っている(2013年に退役した由緒ある五大湖船は、1906年に進水したものだった)。現在でも、それら多くの船にはオリジナルの船舶時計が残されている。これらの時計は8日巻きの機械式ムーブメントを備え、週に1度の巻き上げで動作する。もともとは当直交代の合図として4時間ごとに鐘が鳴るように設計されていたが、現在では主に装飾的な存在となっている。しかしながら時刻を正確に示し、ひと目で視認できるうえ、機関室や操舵室の温度変化、埃、湿気、振動といった過酷な環境にも耐えうる頑丈さを誇っている。
 チェルシー・クロック・カンパニーは、アメリカの航海発祥の地ともいえるボストン港の近くで創業し、その歴史は1800年代後半にまでさかのぼる。20世紀初頭には、米国政府が海軍艦艇用に同社の時計を発注していた。バード(Byrd)提督は1936年の南極探検でチェルシーの時計を使用し、第2次世界大戦中には大西洋戦域と太平洋戦域の軍艦向けに数千個が製造された。ホワイトハウスのマントルピース(暖炉の飾り棚)にもチェルシーの時計が飾られており、歴代の要人や国家元首にも贈られてきた。時計業界では“アメリカンメイド”という言葉がしばしば強調されるが、チェルシーはそのなかで見落とされがちな存在である。これは惜しまれることだ。あらゆる意味において、この純粋な国産企業は“アメリカの世紀”を正確に刻んできたのである。

レッセンスがタイプ7で初のGMT機能と新ケースデザインの新作情報です。

最もレッセンスらしくないモデルが、最も実用的な1本かもしれない。


15年間にわたる時計製造の歴史のなかで、レッセンスは常に時計業界の一般的なトレンドとは一線を画してきた。それもそのはず、創業者ベノワ・ミンティエンス(Benoît Mintiens)氏は、同ブランドの時計に体系的かつ(少なくとも時計マニアにとっては)ひと目でわかるデザイン言語を与えてきたからである。では、そんなブランドが初めて一体化したブレスレットを備えたツール ウォッチを発表したらどうなるのか? それが、新作タイプ7である。
 グレード5チタン製のタイプ7は、レッセンス流のトノー型ケースを採用しており、際立ってフラットな側面とポリッシュ仕上げの面取りが特徴である。ケース径は41mm、厚さは14mmで、一体化したブレスレットと直接接続されている。このブレスレットにはスクリュー固定式のリンクが用いられ、クラスプには5段階のマイクロアジャスト機構が備わっておりこれはクラスプ外側のスライダーで調整可能である。

レッセンスはタイプ7に、ウブロスーパーコピー 代引き同ブランドのいくつかのモデルにおいて最も優れ、そして視覚的に印象的な特徴のひとつであるオイル充填式の凸型ダイヤルを取り入れている。オイルで満たされたダイヤルは通常クォーツモデルにしか見られず、機械式時計ではほとんど例がない。なぜなら、風防の下にある空間すべてがオイルで満たされているからである。さらに複雑なのは、このレッセンスのダイヤルには一般的な針が一切存在せず、時間とともに回転するインダイヤルによって表示が行われる点である。もしオイル充填式のダイヤルを実際に見たことがないなら、ぜひ一度見て欲しい。これは光学上、驚異的なもので、屈折がまったくなく、インデックスがまるで風防の一部であるかのような錯覚を与える。その美しさは現実世界に存在するOLEDディスプレイのようなものである。


しかし、レッセンスのシステムは実に巧妙である。ケース下部にはETA 2824ベースのキャリバーが搭載されており、ケースバック兼リューズとして機能するハイブリッド構造に接続されている。この空気で満たされた下部構造と、複雑なダイヤル機構(レッセンス・オービタル・コンベックス・システム、通称ROCS 7)が収められたオイルで満たされた上部構造とは、薄いチタン製の膜によって隔てられている。そして、この上下2層の構造は磁気伝達システムによって連結されており、これらの磁石がベースムーブメントの分針軸に対応してダイヤルの回転を駆動する仕組みとなっている。

レッセンスの現行モデルになじみのある人であれば、従来とは異なるオイル油温インジケーターの配置に気づくかもしれない。このインジケーターは、オイルの体積が温度変化によって変わる際に連動する内部ベローズ(弁体の気密を保つための金属製の蛇腹部分)システムに対応しており、これまでは独立したインダイヤルとして表示されていた。しかし今回は、時刻表示のインダイヤルの下部に控えめな小窓として組み込まれており、温度変化に応じて色が変化する仕組みとなっている。この独立したインジケーターの代わりに搭載されたのが、新たなGMTインダイヤルである。24時間表示の目盛りが備わっており、別のタイムゾーンを把握することができるのだ。裏蓋を反時計回りに回すことでGMT針の設定が行え、この際、ダイヤルが回転しながらGMT針が1時間ごとにジャンプして進む。目的のGMT時刻が設定された後は、裏蓋を時計回りに回すことでメインの時刻を調整することが可能である。
 ダイバーズウォッチのタイプ5から採用されたのが、レッセンス・コンプレッション・ロック・システムである。これはふたつのポジションを持つケースバック機構で、ガスケットを圧縮/ロックする仕組みとなっている。オープン状態の“セット”モードでは、ケースバックを回して時刻合わせや巻き上げが可能。クローズ状態の“ロック”ポジションではガスケットが密閉され、タイプ7は50mの防水性能となる。

タイプ5に搭載されている回転ベゼルは新作に引き継がれていない。というのも、タイプ7のベゼルは固定式だからである。今回のリリースでは、ナイトブルーのカラーバリエーションと、ブランドの15周年を記念した限定モデルXV アクアマリンのより明るいカラーバリエーションが展開される。ナイトブルーのベゼルにはセラミックが使用されている一方で、XV アクアマリンにはアルミニウム製のベゼルが採用されているのが興味深い。おそらく、この色調をセラミックで再現するのが困難だったためだと考えられる。
レッセンス タイプ7の希望小売価格はそれぞれ673万2000 円(税込)で、2025年4月に発売予定だ。

我々の考え
新作タイプ7の最初のレンダリングを見たとき、思わず安堵のため息が漏れたのを覚えている。レッセンスが“ジェンタ風”デザインを採用するなんて心配する必要はなかった...そう思うべきだったのだろうが、同じようなことを実際にやってしまったブランドがあまりにも多いため確信を持てなかったのも事実だ。確かにこれは、レッセンス史上もっともブルータリズム的なケース形状かもしれない。それでもレッセンスらしさはしっかりと感じられる。

このユニークな時計を無理にカテゴライズするなら、フィールドウォッチというジャンルに当てはめてみたい。というのもレッセンス自身がこのモデルを、冒険者のためのツールウォッチと強調しているからだ。正直なところタイプ5にただブレスレットを取り付けただけの時計で終わらせなかったのは、本当にうれしい。これだけスポーティでタフなデザインを見ると、フルブレスレットと50m防水という安心感を備えた日常使いの1本になり得るのでは、とすら思えてくる。この新要素だけでも十分満足だったがGMT搭載といううれしいサプライズもあった。とはいえ設定のたびに時計を外して裏蓋を操作しなければならないとなると、実用性の面では疑問が残るのも事実だ。本作をジュネーブで実際に見られるのが楽しみでならない。時間が取れれば、じっくり触れてみたいと思っている。

パテック フィリップよりカラトラバ Ref.6196P-001、プラチナでアップデートした最新作。

パテック フィリップは最もクラシックで(敢えて言おう)アイコニックな時計をアップデートした。2021年に発表されたRef.6119で初採用された、ケースいっぱいに収まるCal.30-255 PSを搭載して待望のリフレッシュとなったのがこのRef.6196P-001である。時刻表示のみのパテックファンにとっては4年越しの新作であり、その待ち時間は十分に報われたと言える。

6196はクラシカルなスタイルを持つ手巻きのプラチナ製ドレスウォッチである。パテックのリファレンスナンバーを読み解ける者なら、すでにお察しのことだろう。しかし、パテックのコード言語だけでは読み取れないのが、この時計に採用されたサーモンカラー風のダイヤルで、往年のパテック フィリップを想起させる仕上がりとなっている。1932年に誕生した初代Ref.96は、ブランド初のラウンド型ウォッチであり、バウハウスの“機能が形態に従う”という理念を体現した時計だ。以降このデザインは、カラトラバ コレクション、ひいては現代ドレスウォッチ全体の礎となった。6196は、その歴史に対する敬意を込めたモデルである。


パテックフィリップ コピー販売38mm径のプラチナケースはポリッシュ仕上げの表面とサテン仕上げの側面を備え、滑らかな面取りをあしらったベゼルとテーパードラグを組み合わせている。ダイヤルはローズギルト仕上げのオパラインで、温かみのある柔らかなトーンが控えめながらも奥行きを感じさせる。

6196Pに搭載されるのは、手巻き式のCal.30-255 PSである。ツインバレルによって約65時間のパワーリザーブを実現し、時刻合わせを正確に行うためのストップセコンド機構も備える。チョコレートブラウンのアリゲーターストラップとプラチナ製のバックルを組み合わせ、パテック フィリップのレギュラーコレクションに名を連ねるモデルとなった。
6196Pの販売価格は、746万円(税込)である。

我々の考え
先代のRef.5196 カラトラバに対する最大の批判は、ムーブメントが“ケースに対して小さすぎる”という点であった。そのためスモールセコンドが文字盤上で不自然な位置に配置されていた。だが今回のモデルでは、文字盤側から見てもそのような問題は一切ない。またシースルーバック越しに覗いても、粗探しをするのが難しいほどである。直径38mmのケースは、5196に搭載されていたCal.215 PSに比べ、8.9mm大きい直径を持つことで余白なく収まっており、ふたつの香箱が全体の構成を見事にまとめ上げている。仕上げに関しては言うまでもなく、パテックで常に期待される水準に達しており、ただただ見惚れるほどの美しさである。

プラチナがパテック フィリップにとって究極のケース素材であることは多くの人が知るところだ(もちろん、ステンレススティールやチタンにも異論の余地はある)。ドレスウォッチにおいては、複雑機構の有無にかかわらずプラチナ製モデルが最も人気を集める傾向にある。たとえばRef.5970Pはその代表例であり、ゴールド製の5970G、R、Jと比べて、通常10万ドル(日本円で約1500万円)以上も高いプレミアムで取引されている。


パテック フィリップは流行を追うブランドではないが、世界が再びクラシックを求める機運を的確に察知する力を持っている。6196P-001は多くのコレクターたちが長らく抱いてきた問いに、まさに絶妙なタイミングで応えた1本に感じられる。その問いとは偉大なドレスウォッチはどこへ行ったのか? あるいは、より具体的に言えば伝統的なスタイルのパテック カラトラバは、どうなってしまったのか?というものだ。


愛好家の世界では、明らかな潮流の変化が起きている。ポスト・ハイプ・コレクティングと呼ぶべきか、TikTokのマイク・ヌーヴォー(Mike Nouveau)効果とでも言うべきか、あるいはヴィンテージミニマリズムか...呼び方はどうあれ、若いコレクターたちはより控えめで歴史的背景に根ざした時計へと関心を移しつつある。たとえばヴィンテージカルティエや、そうパテックのRef.96が持つ“完璧”なプロポーションが、まさにその象徴である。

6196Pは初代96の歴史に深く結びつきながらも、現代的に仕上げられた待望のカラトラバである。パテックを知る者にとっても、ただ純粋にこれぞパテックと呼べる素晴らしいタイムオンリーモデルを求める者にとっても魅力的な時計だ。特に注目すべきは38mmというサイズ感。6119よりも1mm小さくまとめた点に、改めて称賛を送りたい。


パテックがこの美意識に立ち返ったこと自体が、ひとつの明確なメッセージである。カラトラバは常に“タイムレス”であることを追求してきた。しかしこの4年間、96の美学は姿を消しており、それはどこか間違っているように感じられた。だが今ではすべては元通りだ。パテックの世界は再び正しい姿を取り戻したのだ。

基本情報
ブランド: パテック フィリップ(Patek Philippe)
モデル名: カラトラバ(Calatrava)
型番: 6196P-001

直径: 38mm
厚さ: 9.33mm
ケース素材: プラチナ
文字盤: サーモン
インデックス: アントラサイト・ホワイトゴールド・ファセット仕上げのオビュ(弾丸)型植字アワーマーカー
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: シャイニーチョコレートブラウンカラーのスクエアスケールアリゲーターレザー、プラチナ製ピンバックル付き

ムーブメント情報
キャリバー: 30-255 PS
機能: 時・分表示、スモールセコンド
直径: 31mm
厚さ: 2.55mm
パワーリザーブ: 最小65時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 27
追加情報: ジャイロマックステンプ、スピロマックス®・ヒゲゼンマイ、パテック フィリップ・シール取得

パテック フィリップは、レディスのノーチラス・ルーチェコレクションに新たなリファレンスである7010G-013を追加した

この新作は、ホワイトゴールド製のケースに波模様をあしらったラッカー仕上げのアズールブルーダイヤル、そして同色のコンポジット製ストラップを組み合わせている。2023年にはパープルのラッカーダイヤルを備えたローズゴールド製のモデル(ストラップ仕様のRef.7010R-013およびブレスレット仕様のRef.7010/1R-013)が登場しており、今回のRef.7010G-013はルーチェシリーズの系譜に新たな彩りを添える存在である。本シリーズは2000年代初頭より、クラシックなノーチラスをベースにしつつ現代的でジェムストーンをあしらった女性向けモデルとしての役割を担ってきた。

Ref.7010G-013は、直径32mm、厚さ6.9mmのホワイトゴールド製ケースを採用し、ノーチラスの象徴である舷窓(ポートホール)構造を備えている。八角形のベゼルにはブリリアントカットのダイヤモンド46個(合計0.8ct)がセッティングされており、ケース全体にはポリッシュ仕上げとサテン仕上げが巧みに組み合わされている。防水性能は30m。搭載されているのは、パテック フィリップが1990年代初頭から使用しているクォーツムーブメント、Cal.E23-250 S Cである。時・分表示とセンターセコンドに加え、3時位置にはホワイトゴールドの枠で囲まれた日付表示を備える。

ダイヤルはラッカー仕上げのアズールブルーで、ノーチラス特有の“波”模様のエンボス加工が施されている。植字されたアラビア数字とオジーヴ(尖塔)形のインデックスはいずれもホワイトゴールド製で、アルファ型の針とともにホワイトのスーパールミノバが塗布されている。ストラップはファブリック調のパターンを備えたコンポジット素材で、ホワイトゴールド製のノーチラス用折り畳み式バックルによって装着される。なお、本リファレンスにはホワイトゴールド製ブレスレットを備えたバリエーション(Ref.7010/1G-013)も用意されており、フルメタル仕様を好むユーザーに向けた選択肢もある。

我々の考え
“ベビーサイズ”ノーチラスの物語は、1980年に登場したRef.4700から始まる。これはクォーツムーブメントを搭載した直径27mmのモデルで、オリジナルのRef.3700が登場してからわずか数年後のことであった。舷窓を模したケース、ケース一体型ブレスレット、水平エンボスのダイヤルといったノーチラスのDNAはそのままに、当時の嗜好に合わせてサイズだけがぐっと縮小されていた。当時の“レディス”ウォッチはより繊細な、あるいは控えめなサイズ感が主流であった。私の感覚では“カクテルパーティー寄り”な雰囲気に写ったのだ──ドラマ『ダイナスティ(現代:Dinasty)』のアレクシス・キャリントン・コルビー(Alexis Carrington Colby)を思い浮かべて欲しい。

しかしそれから数十年の時を経てコレクター市場が大きめのケースを受け入れ始め、女性たちがより存在感のある時計に引かれるようになると、レディスノーチラスもその流れに従ってゆるやかに、しかし着実に変化していった。ケース径は28mm、30mmと段階的に拡大し、2006年に登場したRef.7010ではついに32mmという現代の装いにふさわしいサイズにまで到達した。それでもなおパテックはノーチラスの核となるデザイン言語を守り続け、ダイヤモンドベゼルやカラーダイヤル、コンポジットストラップといったディテールを積み重ねてきた。これは革命ではなく、静かな進化だと言える。しかし、その進化はまさに現代のユーザーの手首に馴染むものだ。そしてレディスの製品バリエーションが拡充されてきたことで、明らかに商業的成功を収めている。メカニカルモデルの兄弟機にあたるRef.7118も、すべてのバリエーションにおいて非常に人気が高い。私自身、ダイヤモンドの有無を問わず、街で見かけることが実に多いモデルだ。

私には“ベビーノーチラス”に対するひそかな愛着がある。そして機械式ムーブメントを搭載した小型ノーチラスの登場を願ってやまないものの、このRef.7010G-013は役割を十分に果たしていると思う。高品質で仕上げの美しいクォーツ製スポーツウォッチであり、ノーチラスのデザイン系譜を力強く継承する1本だからだ。本機は、ムーブメントの形式にかかわらず、ノーチラスの本質的なデザインとそれを精緻に仕上げるパテックの手腕を愛するコレクターのための時計である。
Watches & Wondersからは、今後数日にわたってさらに多くの情報が届く予定だ。ショーで発表されるすべての新作は、引き続きここでチェックして欲しい。

基本情報
ブランド: パテック フィリップ(Patek Philippe)
モデル名: ノーチラス(Nautilus)
型番: 7010G-013

直径: 32mm
厚さ: 6.9mm
ケース素材: ホワイトゴールド製、ベゼルにはブリリアントカットダイヤモンド46個(計0.8ct)をセッティング
文字盤色: アズールブルーのラッカー仕上げ、“波”模様のエンボス加工
インデックス: ホワイトゴールド製でアプライドのアラビア数字およびアワーマーカー、ホワイトの蓄光コーティング
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブルーのファブリック調コンポジット素材、もしくはホワイトゴールド製ノーチラス折り畳み式バックル

ムーブメント情報
キャリバー: E 23-250 S C
機能: 時・分・秒表示、デイト表示
直径: 23.9mm
厚さ: 2.5mm

価格 & 発売時期
価格: ストラップ仕様 670万円/ブレスレット仕様 950万円(ともに税込)
限定: なし