スーパーコピー時計

時計の価格と価値、そして900万ドルの切手にまつわる不可思議な話

ポール・ニューマンが所有し、娘のボーイフレンドに贈ったポール・ニューマン デイトナは過剰な評価をされていると言われているが、その非難が本質的に正しいことは否定できない。実際、PNPND(簡潔にするために、ポール・ニューマンのポール・ニューマン デイトナを省略してこう呼ぶことにする)が大げさに持ち上げらてれいる状況自体が、この時計をこの時計あらしめているのだと言える。その過大評価を度外視すると、少し特徴的な外観に当時の製造技術を踏まえた良質な作り、そしてどこにでもあるような信頼性の高いクロノグラフムーブメントを備え、それが計時技術の進化を象徴しているという点で(時計史的に)興味深い、ミッドセンチュリーに大量生産された風変わりな趣向のスポーツウォッチというだけのものになってしまう。つまり過剰な評価という後ろ盾がなければ、この時計はあらゆる点で当時におけるその他多くの(実際何十万とある)時計とさほど変わらないのだ。もちろん、それらの時計はオークションで1700万ドル(当時の相場で約20億円)はおろか、17万ドルでさえ落札されることはない。

Paul Newman Daytona
 ヴィンテージウォッチ収集の趣味に真剣に取り組んでいる人ならおそらく誰でも知っているように、PNPNDとはまるで嵐のような存在だった。PNPNDはロレックスの特定のモデルを対象とした説明し難い熱狂の先駆けであり、その元祖ともいえる存在だった。しかし、この時計は米国芸能界の重鎮にゆかりのある時計でもあり(ポール・ニューマンはハリウッドによくいるタイプの美少年ではなかったが、役として求められればそのように演じることもできた)、そしてそれ自体がアメリカ文化を象徴するピースの一部にもなっている。もしあなたが腕時計に始まり、ハリウッドにまつわる名品、ポール・ニューマンの思い出の品まで幅広いジャンルをカバーするコレクターであったなら、 おそらくこの時計にも少なからず興味を持つことだろうと思う。

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 エキゾチックダイヤルデイトナのデザインそのものが、この時計が高値で取引されていることに少しでも関係しているか否かという質問の答えは、誰に尋ねるかによって変わるだろう。私はそのデザイン自体に、奇抜さ以上のものを見出せないでいる。しかし、私が敬意を抱いている人たち(そのなかには、時計デザインの価値を決定づけるベンチマークとして、またほかの時計コレクターの手本として、大いに評価されている人物もいる)は、真顔でこの時計を“史上もっとも美しい時計のひとつ”と評し、またそのように書いてもいる(もしジョージ・ダニエルズのスペース・トラベラーが文字を読むことができたなら、白目をむいて鏡の前に駆け寄り、白雪姫に出てくる女王のように本当に一番美しいのは誰なのかを尋ねることだろう)。

 PNPNDに限らず、このところ時計オークションで記録的な価格が次々と発表されていることが話題になっているが、その議論の中心にはふたつの問いかけがある。ひとつは“本当にその価値はあるのか?”、そしてもうひとつは “時計収集においてあまりよくないことなのでは?”ということである。

Rolex Reference 6200
ロレックス サブマリーナー Ref.6200

 まずは後者の疑問から見てみよう。まったく魅力を感じないと誰もが思っていた時計が眉をひそめるような高額で売れるたときによく聞くのが(言い方はさまざまだが、基本的な内容は同じだ)、「時計収集の楽しみを台無しにしやがって!」という主張である。最近だと今月(2017年11月)初めに取り上げた“納屋で見つけた”スピードマスターがそれに当てはまるが、そのほかにもいくつもの例がある。PNPNDが記録を打ち立てたのと同じフィリップスのオークションで、ロレックス サブマリーナー Ref.6200(初年度サブ)が57万9000ドル(当時のレートで約6540万円)で落札されたことには、まだほとんどの人が気づいていないようだ。もし、そもそもあなたがこのような取引を馬鹿げていると思っているとしても、これがPNPNDに1700万ドルを支払うのと同じくらい非常識な話だとは私は思えない。

 さて、これらの出来事は時計コレクターたちに悪影響を与えるものなのだろうか? まあ、事実そうなのかもしれない。ロレックスやパテック フィリップのような一流メーカーの時計の価格は新品、ヴィンテージを問わず上昇の一途をたどっている。10年、15年前でも、良質なヴィンテージウォッチは決して安いものではなかった。しかしヴィンテージウォッチの収集に莫大な資金が流れ込むようになったことで、ゲームの流れが変わったのは事実だ。私が時計に興味を持ち始めたころは、時計雑誌は雑誌売り場で鉄道模型や人形収集、切手収集の雑誌と一緒に並べられていた。それのころと比べ、状況が劇的に変化しているのは明らかだ。

Aurel Bacs Phillips Paul Newman Auction
ポール・ニューマン所有のポール・ニューマン デイトナ。その入札競争の渦中にあるオーレル・バックス(Aurel Bacs)氏。

 とりわけ収集価値があるモデルのオークション価格が驚くほど高騰しているのは(一部の記録的な例に限らず、一般的なオークションの価格も含めてだ)資産家でもなければ確かに問題で、10年前には比較的購入しやすいコレクターズアイテムだったものが多くの人にとってもはや手の届かないものになってしまっている(もちろん、10年、20年前にそういったモデルを手に入れていて、今売ろうとしているとしたら、それこそ時計収集における最高の喜びのひとつと言えるだろう)。それが必ずしもいいことなのか悪いことなのかはわからないが、時計収集の本質は根本的に変わってしまった。かつてはやや風変わりかつ難解で、たまに金がかかるが基本的に人目につきにくい趣味であったものが、現在ではメディアを舞台にした大掛かりなサーカスと化している。多くのサーカスがそうであるように、この状況は興行主にとっては好都合なものだが、権力の連鎖の下に行けば行くほどその恩恵は減っていく。そして、以前はより希少なスピードマスターやサブマリーナーを手にすることができた人々が、ゲームからはじき出されたことに苛立ち、腹を立て、その責任を負うべきだと考えた結果として特定の個人や団体を恨むのも無理はない。

 もう一方の質問、その時計にはそれだけの価値があるのか? にはふたつの答えがある。もちろん、ひとつ目は“ノー”だ。PNPNDのために支払われた対価は、いかなる尺度からみても合理的に正当化できるものではない。PNPNDやその他のデイトナの背後にある設計思想、工芸品としての品質、あるいはそのなかに潜む創意工夫のいずれと突き合わせても、もっともらしい、いや、論理的な整合性を欠くものだからだ。しかしながら、ふたつ目の答えは“イエス”だ。というのも、何かにつけられる価値とは定義上、誰かがそのものに対して喜んで支払った対価を指すものであるからだ。この場合により重要視されるのは、時計ものの価値だけでなく、それが何を象徴するものかという点にある。PNPNDとデイトナ全般が時計としての外観やデザイン的な特徴を超越し、背負っているものについてはすでに述べたとおりだ。特にPNPNDの価値はそのもの自体についてというよりも、ストーリーとして何を示唆しているかという点に尽きる。


2013年にクリスティーズで開催されたロレックス デイトナのオークションは、ヴィンテージコレクター界隈におけるゲームのあり方を一変させた……、そうだろう?

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 生活必需品に当てはまらないあらゆる贅沢品について間違いなく言えるのは、それらが持つ社会的認知度やステータス性の高さがそのまま市場価格に1から10まで反映されるということだ。つまり実用性よりも象徴的な価値に対して対価を支払っていることになる。だが、機械式時計の場合は、象徴的な価値がときとして実用性と強く結びつくというおもしろい状況も発生する。たとえば私の時計は、粒子加速器やMRI装置でしか見ることのできない磁場に耐えることができる。つまり私は無意味なほど高いタフネスと卓越した技術力を身につけて歩いているということになるのだ。しかしコレクターズアイテムの場合、事情は世の一般的な嗜好品とは少し異なる。贅沢品にとっては実際のところ、多少なりとも世の中に出回っていることが重要視されるかもしれないが(ステータスアイテムとして時計を身につけていても、誰もそれを知らないのではおもしろくない)、コレクションにおいては世の中に出回っていないものほど素晴らしいとされる。

 アート作品の収集では、問題は比較的単純だ。そもそも、どんなものでも1点しかないのだから(複製可能なフォトプリントやリトグラフ、いくつかにわたる彫像の複製など、複数個が作られる場合は別だ。その場合、価値を保ちたければ何点作るのかという公約を守らなければならない)。しかし製品化された商品に関しては、基準価格を大幅に上回る価格で取引されるのは多くの場合1点ものである。

British Guiana One Cent Magenta
スチュアート・ワイツマン(Stuart Weitzman)が所蔵するイギリス領ギアナの1セント・マゼンタ。Image: Wikipedia

 その一例として、英国領ギアナの1セント・マゼンタ切手を紹介しよう。この切手は1856年にイギリス領ギアナ(現在のガイアナ)でごく限られた数しか製造されず、現在に至るまで1枚しか残っていないことが知られている。切手収集の世界では、この切手は長らく伝説となっている。その来歴と価値は周知の事実であり、1922年にオークションで3万6000ドルで落札されたときにはすでに史上もっとも人気のある切手のひとつとなっていて、その後もオークションに何度か出品された。最近では、デュポンの相続人であり有罪判決を受けた殺人犯ジョン・E・デュポン(John E. du Pont)のコレクションであったことで知られており、彼は1980年にこの切手を93万5000ドル(当時のレートで約2億1200万円)で購入している。デュポンは72歳で獄死し、彼の遺産管理団体はこの切手をオークションに出品した。2014年6月17日、サザビーズのニューヨーク・オークションで、この切手は靴デザイナーのスチュアート・ワイツマンによて948万ドル(当時のレートで約10億円)で落札された。

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 そう、これはあなたがこれまで見たこともないよう見栄えの悪い紙切れである。極めて醜悪な傷んだ紫色(私に言わせれば“マゼンタ”なんて大げさだ)は、まるで乾燥したかさぶたのようで、まるで切手の形に爪切りで切りそろえたようにも見える。芸術的でもなければ魅力的でもない。ひと言で言えば、汚らしい。しかし切手収集の世界では、これはポール・ニューマンのポール・ニューマン デイトナに匹敵する代物なのだ(ひいては、時間が経過してボロボロになったいわゆるトロピカルダイヤルを持ち、現在収集可能なあらゆる“正当な”時計に通じる)。切手コレクターでもない人の目には、これは不規則な形をした紙の切れ端のようにしか見えないだろう。しかし切手コレクターからすると、この切手にはすべてが詰まっている。歴史、希少性、特別性、興味深い裏話(少々ぞっとするような話だが、その方がいいのかもしれない)、そして数十年にわたり少しずつ価値を高めてきた軌跡がある。ワイツマンが売却を決断した場合、これらの要素がこの切手を世界中の裕福な切手収集家にとって魅力あるものとするだろうと思う。

 ここで重要なのは、コレクターズアイテムの取引で記録的な結果が出たとしても、その影響はごく限定的なのものであるということだ。美術品オークション市場でバブルが起きると、それはさまざまなアーティストや作品にも波及する。PNPNDはバブルに乗っているかもしれないが、バブルを牽引しているわけではないし、今後も牽引することはないだろう。ひとつの華々しい成果が、それ以降の、しかも関連性のあるロットに何らかの影響を与えることは事実だ。しかし、そのような結果(それは本来、記録を更新したという話題性に起因している)が既存の市場を根底から劇的に揺るがすと結論付けるのは少々軽率なようにも思われる。

ダイバーズウォッチの祖として知られるブランパンのフィフティファゾムスが70周年を迎えました。

いずれも限定本数か生産本数が限られたモデルでしたが、より多くの人たちに手にとってもらうことのできるプロダクトもリリースされました。それが、スウォッチとタッグによって誕生したスキューバ フィフティ ファゾムスです。2年前は天体をテーマにしたムーンスウォッチでしたが、スキューバ フィフティ ファゾムスは、地球にある海をテーマにしたモデル。カラフルなバイオセラミックケースと機械式ムーブメントを備えたモデルで、発表されたあと大きな話題となりました。

 5種類のスキューバ フィフティ ファゾムスウォッチが登場した時、僕は正直言って少しがっかりしていました。ポップで楽しいカラフルなラインナップはもちろん魅力的でしたが、ムーンスウォッチのミッション・トゥ・ザ・ムーンのようにオリジナルモデルのトンマナにあわせたバージョンがひとつはあると思っていたからです。だから2024年が明けてすぐに発表されたオールブラックのスキューバ フィフティ ファゾムス オーシャン オブ ストームはとても気になっていました。僕はしばらくのあいだスウォッチからこれを借りて試してみることにしました。

 先行する5つのモデルが地球の海々をモチーフにしたのに対し、最新作は月の海、特に約2600kmに及ぶ最大の海「オーシャン オブ ストーム」、つまり嵐の大洋に着想を得ています。この海は実際には広大な平地であり、そのユニークなコンセプトが本作を特別なものにしています。

 本作の基本仕様は先代モデルを継承する形で、バイオセラミック製のケースは直径42.3mm、厚さ14.4mm、そして全長48mmです。このケース素材は、セラミックとヒマシ油から作られたバイオ素材で構成され、付属のNATOストラップは再利用された漁網で作られています。これはブランパンの海洋保護への取り組みを反映した、環境に優しい設計です。防水性能は91mで、これは1953年に発表されたオリジナルのフィフティ ファゾムスの仕様に合わせたものです。その当時、ダイバーが使用するタンクで潜れる最大深度、つまり50ファゾム(91m)を指しています。


 内部にはシステム51と名付けられた革新的な機械式ムーブメントを搭載します。実は僕はこのムーブメントには馴染みがあります。というのも僕はシステム51を採用した時計を3本所有しているからです。ブランドのこのムーブメントの選択は、ブランパンが1735年の設立以来、一貫して機械式時計の製造にこだわり続けている伝統に倣う形であるのです。システム51は、2013年に発表された世界で初めて完全自動化された製造プロセスを持つ機械式ムーブメントです。このムーブメントが特別なのは、たった51個のパーツから構成されていることで、これは従来の機械式ムーブメントが100個以上のパーツを必要としていたことと比較すると、そのシンプルさと革新性を示しています。
 スキューバ フィフティ ファゾムス オーシャン オブ ストームは、今回僕が初めて手にとって実際に試すブランパン×スウォッチモデルとなりました。海の見える台場の公園に連れていき、太陽の下でどう見えるのか、つけ心地はどうだったのかなど、本モデルについて、上の動画のなかでより詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

関連商品:https://www.jpan007.com/brands-category-b-28.html
 

シチズンは特別限定モデルのトリオを発表した。

陸・海・空を表現した各領域のモデルがひとつずつ用意され、そこには特別なカラーリングと表面処理を施した愛らしいフジツボダイバー、そしてハイテク志向の多機能クォーツウォッチのペアが並ぶ。35年間、スポーティで何でもこなせる時計の数々を生み出してきたシチズンが、プロマスターの本質をどのように捉えているのかは非常に興味深いところである。

1989年にプロフェッショナル仕様の腕時計を扱うブランドとして誕生したプロマスターは、現在では基本的に3つのコンセプト、SKY /スカイ(パイロットウォッチ)、LAND /ランド(フィールドウォッチ)、MARINE /マリン(ダイバーズウォッチ)から構成される包括的なコレクションへと成長している。したがって、この35周年記念の新コレクションにもそれぞれから1本ずつが用意された。3本それぞれの詳細なスペックは、以下のとおりだ。
マリンからは、通称フジツボ、そしてまたの名をチャレンジダイバーともいうメカニカル ダイバー200mの4500本限定モデルを用意した。この新作ではオリジナルモデルの魅力はそのままに、ブルーの文字盤、縁にライトブルーのアクセントが施されたベゼル、そして表面処理にデュラテクトプラチナが用いられたチタン製ケースとブレスレットが採用されている。この表面処理により耐傷性が向上し(シチズンは1000~1200Hvという驚異的な値を提示している)、従来のチタンよりもずっとシルバーがかった輝きを放つ金属に仕上がっている。サイズは直径41mmに厚さ12.3mm、ラグトゥラグは48.5mmとなっており、ムーブメント(シチズン製の自動巻きCal.9051)はそのままだが、プロマスターの35周年を記念する特別ケースバックが付属して価格は14万3000円(税込)となっている。このモデルは6月6日から販売中だ。標準仕様のフジツボダイバーについて詳しく知りたい方は、こちらのHands-Onからご覧いただきたい。

ランドカテゴリに用意された時計はかなりクールだ。特に、僕のようにアナデジの時計が好きな人にはたまらないだろう。シチズンのアクアランド、ブライトリングのプルトンやエアロスペース、永遠の名作であるクロノシュポルトのUDT、超いかついセイコーのアーニーなど、アナデジウォッチには深くクールな何かがある……そして、僕はそのどれもが大好きだ! この特別なアナデジモデルには、シチズンの時計としては初めて、高解像度のMIP(メモリー・イン・ピクセル)ディスプレイを搭載したCal.U822と呼ばれる新型ムーブメントが採用されている。これにより、データをよりフレキシブルに表示できるようになった(アナデジモデルでは非常にシンプルなディスプレイを使用することが多い)。この多機能ムーブメントには以下にまとめたような便利なファンクションが搭載されており、43.9mm径の時計にはケースにマッチするカラーのスティール製ブレスレットとコーデュラナイロンストラップの両方が付属する。このタクティカルな雰囲気の新モデルは15万4000円(税込)で世界限定5900本、発売は今年の秋を予定している。
最後にスカイの35周年記念モデル、スカイホークA-Tベースの1本はステンレススティールのケースとブレスレットにグレーカラーのメッキが施されている。サイズは直径45.7mm、厚さが13.8mmで、文字盤のレイアウトは過去にアナデジのシチズン スカイホークを所有したことのある人ならだいたいわかるだろう。原子時計から送信される電波による時刻修正機能を有するエコ・ドライブムーブメントを搭載したこのモデルは、旅行に便利な数々の機能やデジタルならではの機能を備えており、今年の夏に世界限定5600本で12万1000円(税込)で発売される予定である。


我々の考え
素晴らしいスペックとプライスを兼ね備えた41mm径のダイバーズウォッチと、シチズンからしか発売されないような完成度の高い2種のアナデジモデルが並んでいるのだから、この3本からどれかひとつを選んで論じろというのは難しい話だ。今回僕が言うべきことはかなり少なく、ランドとスカイのモデルはもう少し小さくならなかったのか、ということぐらいだ。41mm径以下であれば、もっと購買層を広げることができただろう。それ以外の点では、プロマスターのアニバーサリーなのだから、シチズンがブランドコンセプトの芯を表現するような時計を目指したことにそれほど驚きはないだろう。

僕個人のアナデジウォッチに対する深くニッチな愛から言わせてもらうと、最大の関心ごとはもっぱらこのムーブメントがほかの時計に搭載されるかどうかということだ。このムーブメントを使えば、あらゆるスポーツウォッチに多彩な機能を搭載することができるのではないかと、クールなアイデアが次から次に湧き出てくる。
そして興味深いことに、これら3つはそれぞれプロマスターが掲げる系統を象徴する特別なモデルではあるものの、シチズンでもっともスポーティな時計ブランドにおける氷山の一角に過ぎない。シチズンはプロマスターのアンバサダーも拡大しており、ベースジャンパーでパラグライダーでもあるジェフ・シャピロ(Jeff Shapiro)がスカイに、写真家で探検家のジョディ・マクドナルド(Jody MacDonald)がマリンに参加している(才能豊かな写真家ウィリアム・ドラム/William Drummとともに)。ランドカテゴリではカナダの伝説的クライマー、ウィル・ガッド(Will Gadd)がプロマスターのアンバサダーとして就任したことも忘れてはならない(そして、その時計を有効活用しているのが上の写真だ)。
僕の手首に巻くことができ次第、詳細をお伝えする予定だ。

シチズン プロマスター MARINE メカニカルダイバー 200m “フジツボ” 35周年記念限定モデル

型番: NB6026-56L

直径: 41mm
厚さ: 12.3mm(設計値)
ケース素材: スーパーチタニウム™(デュラテクトプラチナ)
文字盤色: ブルー
夜光: あり、インデックスと針
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: ケースと同色のスーパーチタニウム™製(デュラテクトプラチナ)

キャリバー: シチズン 9051
機能: 時・分・秒表示、デイト表示
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
新同数: 2万8800振動/時
石数: 24
精度: -10〜+20 秒/日

価格: 14万3000円(税込)
限定: 世界限定4500本

シチズン プロマスター LAND エコ・ドライブ電波時計 35周年記念限定モデル

型番: JV1008-63E

直径: 43.9mm
厚さ: 14mm(設計値)
ケース素材: ステンレススティール(グレーめっき)
文字盤色: ブラック
夜光: あり、インデックスと針
防水性能: 20気圧
ストラップ/ブレスレット: スティール製ブレスレットとインターチェンジャブルのコーデュラストラップ

キャリバー: シチズン U822 (アナデジクォーツ)
機能: 時刻表示、ワールドタイム、クロノグラフ、アラーム、パーペチュアルカレンダー、LEDバックライト、デジタル表示窓
パワーリザーブ: エコ・ドライブによるフル充電時で約3年
精度: ±15秒/月

価格: 15万4000円(税込)
限定: 世界限定5900本

シチズン プロマスター SKY スカイホーク A-T エコ・ドライブ電波時計 35周年記念限定モデル

型番: JY8146-54E

直径: 45.7mm
厚さ: 13.8mm(設計値)
ケース素材: ステンレススティール(グレーめっき)
文字盤色: ブラック
夜光: あり、インデックスと針
防水性能: 20気圧
ストラップ/ブレスレット: ケースと同色のステンレススティール製

キャリバー: シチズン U680(アナデジクォーツ)
機能: 時刻表示、ワールドタイム、電波による時計修正、パワーリザーブ、パーペチュアルカレンダー、1/100秒クロノグラフ、デジタル表示窓
パワーリザーブ: エコ・ドライブによるフル充電時で約3年半
精度: ±15秒/月

価格: 12万1000円(税込)
限定: 世界限定5600本

モンタから最新作となるノーブル ボイジャーが登場した。

これは既存のコレクションにGMT機能を追加したものだ。GMTを追加しながらも、同社のコレクションでは定番となっているノーブルのエレガントな外観とコンパクトなサイズを維持している。

ノーブル ボイジャーは、単独で調整可能な24時間針を持つ“コーラー”GMTを採用。スケルトナイズされたGMT針の先端にはスーパールミノバを塗布し、それがダイヤル外周の24時間スケールとともにタイムゾーンを示す。またポリッシュ仕上げのインデックスと針にもスーパールミノバを塗布しており、6時位置には日付窓を配している。モンタ ノーブル ボイジャーはサンレイグラデーション仕上げのブルーまたはグリーンダイヤルをラインナップし、サイズは38.5mm径×10.7mm厚(ラグからラグまで47mm)で、150mの防水性能を確保。これは3針のノーブルコレクションよりもわずか1mm厚いだけである。ブレスレットにはサテン仕上げのスティールブレスをセットする。

モンタ ノーブル ボイジャーの予約販売価格は2150ドル(日本円で約34万8000円)で、8月の納品を予定している。予約注文せず、後日購入する場合の定価は2395ドル(日本円で約38万7000円)だ。

我々の考え
モンタはノーブル ボイジャーのコーラーGMTにセリタ製SW330-2を選んだ。最近のHODINKEE Radioでも話したように、過去数年でGMTの需要は急増しており、ノーブル ボイジャーもこの賑やかな市場に参入を果たした。より多くのブランドが手ごろな価格、あるいは手に入れやすいフライヤーGMTを提供するなかで、モンタの新しいGMTは少し厳しい競争に直面するかもしれない。しかし時計の見た目がよく、完成度の高い時計であることに変わりはない。

モンタのフィット感と仕上げの品質にはいつも感心していて、特にこのブランドの価格帯でそれが実現しているのは本当にすごいと思う。新しいノーブル ボイジャーにも同じことを期待している。既存のモデルラインナップにぴったり合うし、モンタによるとさらにフィット感が高まったと言っているからだ。GMT針はスケルトン加工をしているため控えめで、これはダイヤルに焦点を当てるためだと考えられる。24時間目盛りの数字がダイヤルの中央寄りに配置されている点にはまだ完全に納得していないが、今週末開催されるワインドアップシカゴ(Windup Chicago)で実物を手に取るのが楽しみだ。


基本情報
ブランド: モンタ(Monta)
モデル名: ノーブル ボイジャー GMT(Noble Voyager GMT)
型番: 71DB00SP(ブルー)、71GN00SP(グリーン)

直径: 38.5mm
厚さ: 10.7mm
ラグからラグまで: 47mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: ブルーまたはグリーンのサンレイ
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ(BGW9)
防水性能: 150m
ストラップ/ブレスレット: ステンレススティールブレスレット、クイックアジャスト機能付きデプロワイヤントクラスプ


ムーブメント情報
キャリバー: モンタキャリバーM-23(セリタSW-330-2ベース)
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示、コーラーGMT
直径: 26.2mm
厚さ: 4.1mm
パワーリザーブ: 約56時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25

価格 & 発売時期
価格: 予約注文時は2150ドル(日本円で約34万8000円)、定価は2395ドル(日本円で約38万7000円)

シェフのダニエル・ブールー(Daniel Boulud)氏は、ニューヨーク、そして世界中の飲食業界における伝説的存在だ。

彼はニューヨーク、マイアミ、モントリオール、シンガポール、ドバイなど、世界各地で数多くのレストランを経営している。1993年にオープンしたアッパーイーストサイドの『Daniel(ダニエル)』は、現在ミシュランふたつ星を獲得している。

ニューヨークの東65丁目に店舗を構えるレストラン『ダニエル』。
 ブールー氏は世界的に有名な美食の地、フランスのリヨン育ちである。フランスで修業を積んだブールー氏は、やがて料理のキャリアを追求するために渡米。以来ブールー氏と彼のレストランは数え切れないほどの賞を受賞し、その過程で時計を何本も手に入れたそうだ。

『ダニエル』の厨房に立つシェフ、ダニエル・ブールー。
 我々は彼自身の名を冠したレストラン『ダニエル』に赴いてブールー氏のキャリアと何本かの時計について話を伺い、さらに営業中のレストランシーンの撮影もさせてもらった。ご覧のとおりブールー氏の腕時計の多くには、彼のシェフとしてのキャリアをたどる物語が添えられている。リシュモンのボス、ヨハン・ルペール(Johann Rupert)氏が『ダニエル』で食事をしているときに手首につけていた時計を目ざとく見つけたり、ニューヨークのティファニー本店を改装してレストランを開いたり、ブールー氏と時計とのつながりは深い。プロフェッショナルな話題もありつつ、特に感動を呼んだのはもっと個人的なストーリーだった。私が何を言っているのかは、映像を見れば分かるだろう。

 ニューヨークの名レストラン『ダニエル』を会場に、シェフであるダニエル・ブールー氏とのTalkingWatchesをお楽しみいただきたい。

ロレックス GMTマスター II “ルートビア”

 レストラン『ダニエル』に入ると、シェフがSSとエバーローズゴールドのロレックス GMTマスター II “ルートビア”を着用して待っていてくれた。視認性に優れ、丈夫で大きすぎない。2018年に発表されたこのモデルは信頼性が高く堅牢なスポーツウォッチであり、私や読者諸君、ダニエル・ブールー氏が現代のロレックスに求めるものすべてを備えている。つまりGMTマスター IIは、厨房でバタバタ動き回るのにうってつけの時計なのだ。画像では傷や汚れも写り込んでいるが、それこそがブールー氏がGMTを頻繁に着用している証左であり、この時計をますます魅力的なものとしている。


ロレックス “ゼニス” デイトナ

 次に紹介するのは、ブールー氏所有のホワイトダイヤルのロレックス “ゼニス”デイトナ Ref.16520だ。1988年に発表された初の自動巻きデイトナで、ロレックスによって大幅な改良が加えられた有名なゼニス製エル・プリメロを搭載している。歴史やスペック以上に、この時計はブールー氏と最も長い時間を共有している時計のひとつであり、彼にとって初めてのロレックスでもある。それも自分で買ったものではなく、親しい友人からの贈り物だった。その経緯は特にパーソナルな話で、動画のなかの彼自身の言葉からその想いを感じ取って欲しい。

ロレックス GMTマスター II “ペプシ”

 「ロレックスをつけるのが好きですね。厨房で一番快適ですから」とブールー氏は語る。ルートビアと“ゼニス”デイトナに加え、彼は2018年にロレックスが初めて(ジュビリーブレスレットで)復活させたSS製のペプシを所有している。その直後にロレックスは、オイスターブレスレット仕様のペプシを追加した。特にこのロレックスコレクションは、ブールー氏が後援者となっている慈善団体を運営するトロントの友人とのつながりで収集したものだという。

 「私にとってそれぞれが思い出深いのです」と、ブールー氏はこれらの時計について語る。

ロレックス GMTマスターII “バットマン”

 ブールー氏は疑いようがなくロレックス党であり、とりわけGMT派である。次に紹介するのは、ロレックスが2013年に初のバイカラーセラミックベゼルで発表したブルー&ブラックベゼルのGMTマスター II “バットマン”だ。ここで見られるジュビリーブレス付きのバットマン(一部では“バットガール”と呼ばれている)は、2019年に派生モデルとして追加された。ブルーとブラックの組み合わせはGMTマスター系では歴史的に前例がなく、その登場はペプシベゼルが製造困難だったことから代替とした結果だという説もあったが、ペプシは数年後に初のWG製GMTマスター IIで実現することになる。いずれにせよ、ブールー氏のGMTマスターコレクションを総括するようなモデルである。

ロレックス スカイドゥエラー

 最後にSS製のロレックス スカイドゥエラーを紹介しよう。GMTマスターがトラベラーズウォッチの元祖だとすればスカイドゥエラーはその改良型で、24時間表示の年次カレンダーを搭載している。ダイヤルカラーはホワイトで、シェフの白衣によく映える。

パネライ ラジオミール ブラックシール

 パネライの時計はさまざまな要素で知られているが、ブールー氏のセラミック製ラジオミール ブラックシール(Black Seal)ではその実力をいかんなく発揮している。また時計以上に、ブールー氏がパネライに出合うまでの経緯は、入場料を払ってでも聞く価値がある。ある晩、リシュモンのボス、ヨハン・ルペール氏が彼のレストランでディナーをしていたというのが話の導入部だ(パネライはリシュモン傘下である)。
 ブールー氏は自分のレストランで食事をしてくれた彼に挨拶とお礼を言いに行ったとき、時計マニアの性分からルペール氏が手首に何をつけているのかを見抜こうとしたという。パネライのケース形状は特徴的なため、ひと目でそれと分かった。ブールー氏がフィレンツェの同ブランドから初めての時計を手にするまでに、そう時間はかからなかったようだ。

パネライ グラントゥーリズモ フェラーリ クロノグラフ

 ブールー氏のパネライに対する愛情はそれだけにとどまらない。これはフェラーリのためのパネライ グラントゥーリズモ クロノグラフで、スクーデリアのクラシックカラーを示す鮮やかなイエローダイヤルを備えている。12時位置のダイヤルを飾るのはフェラーリの名と疾走する馬の姿だけなので、知らなければパネライだとは分からないだろう。パネライとフェラーリは長年にわたって数々のコラボレーションモデルを発表してきたが、このコレクションは2006年にマラネッロのフェラーリ工場で発表された。
 インタビュー中、ブールー氏はモントリオールで翌週に開催されるF1レース観戦が楽しみだと語っていた。

パネライ ラジオミール 8デイズ GMT オロロッソ

 パネライのファンであるブールー氏は、50歳の誕生日にパネライから時計を贈られた。それもただのパネライではなく、ローズゴールド無垢のラジオミール 8デイズ GMT オロロッソである。これは2012年に発表された500本限定のRef.PAM00395で、ブールー氏のルートビア GMTと同じくローズゴールドにブラウンダイヤルが特徴的だ。

 内部にはCal.P.2002が搭載されている。特に見分けやすいポイントは、ブリッジがくり抜かれてムーブメントの輪列と主ゼンマイが露出している点だ。

 「厨房でつけることは滅多にありません」とブールー氏は付け加えた。

カルティエ サントス100

 フランス人であるブールー氏は、カルティエに特別な親近感を覚えるという。しかしこれまでの彼の嗜好が示すように、彼はドレスウォッチよりもスポーツウォッチ派だ。このカルティエ サントス100はローズゴールドのベゼルとDLCコーティングを施したカーボンケースに、ブラックのナイロン製“トワル・ドゥ・ヴォワール(帆布)”ストラップを組み合わせたモデルだ。彼のコレクションにある他社のモデルと同様、サントスもプレシャスメタルをスタンダードなスポーツウォッチにほどよく落とし込んでいる。
 「アメリカに来て最初に買った時計は、小さなタンクでした」とブールー氏は語る。今つけるにはちょっと小さいし、エレガントすぎると彼は説明していた。しかしこのサントス100はぴったりなようだ。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

 オーデマ ピゲがロイヤル オーク オフショア クロノグラフを発表したのは1993年(偶然にもブールー氏が自身の名を冠したレストランをオープンしたのと同じ年だ)。男性用モデルの平均が直径36mm程度だった当時、この“ビースト”は大きく大胆なスポーツウォッチの時代を切り開いた。

 「これは夏用の時計ですね」とブールー氏は語る。

ウブロ クラシック・フュージョン クロノグラフ

 ブールー氏によると、ウブロの前CEOであるジャン-クロード・ビバー(Jean-Claude Biver)氏はニューヨークにいるときはいつも彼のレストランを訪れていたという。親交が深まり、ビバー氏はブールー氏に毎年特大のチーズを贈っていたらしい。ブールー氏はビバー氏のチーズが彼の言うとおり絶品であると証言してくれた。
 ブールー氏は以前にもう2、3本ウブロを持っていたものの、自分のレストランで長年貢献してくれた従業員に譲ってしまったという。しかしこのクラシック・フュージョン クロノグラフは残っている。

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